特集:サイキックラバーが語る、ONKYOカスタムIEM

アニメや特撮の主題歌を数多く手がけ、ライブパフォーマンスにおいてもアリーナクラスからライブハウスまで規模を問わず多くのファンを魅了し続ける、YOFFY(Vo.)とIMAJO(Gt.)によるロック・ユニット、サイキックラバー。

実はサイキックラバーのお二人は、旧モデル以来ONKYOカスタムIEMを数々の現場でお使いいただいています。

今回、サイキックラバーのオリジナル刻印キャンペーンを実施するにあたり、
お二人からカスタムIEMについての熱いお話を伺いました!

インプレッション精度の高さが生むフィット感
―2020年の夏ごろからお二人とも新しく作ったONKYOのイヤモニをお使い頂いていますが、使用感はいかがですか?

IMAJO:好調です。以前もモデルチェンジ前のONKYOのイヤモニも使用していました。今回は形状が少し大きくなったのでそこが気になっていたんですけど、全く問題無いですね。

YOFFY:僕も前のモデル(IE-C3)を使用していて、ケーブルも何回か替えていたんですが、新しく作ったJ3の方がレンジが広がっている感じがしますね。僕は型取りのプロセスが変わったからだと思うんですけど。

―耳型の採取を左右とも2回ずつ行っている点ですね。

YOFFY:そうですね。顎を動かしながら採取してもらったのもあるんですけど、上顎と下顎の関節の動きを邪魔されないのがヴォーカリストとしては非常に重要です。以前作ったものは体調によってちょっと痛みを感じる事もあったのですが、それが解消されています。もしかしたら遮音性は少し削られているのかもしれないですが、このフィット感と追従性はそれ以上に大事ですし、それが結果的に聴こえてくる音も改善してくれていますね。

―そもそもイヤーモニターをライヴで導入したのはどういうきっかけだったんですか?

YOFFY:僕の場合は、他の人が使い始めるよりも早く音量調整機能付きの耳栓を補聴器屋さんで作ったのが始まりだと思います。もう13年以上前かな?LOUDNESSの二井原実さんがステージ上で耳を保護するために使っているっていう記事を見かけたのがきっかけです。「どう音量を抑えつつHigh落ちしない耳栓を探すか」という事で色々なメーカーを試していました。

IMAJO:僕は昔からサイキックラバー以外の現場で演奏する機会も多くて、そういった現場では同期(ステージ上の演奏者以外の音をPC等で鳴らす)の音と一緒に演奏する場合が殆どで。最初はドラマーだけがクリック(ガイドリズム)を聴いて、他の演奏者はその生のドラムに合わせて足元のスピーカーからモニターしていたのですが、曲中の様々なきっかけや、曲のエンディングのかき回しの最後の締めのタイミングなんかもイヤモニでガイドが入る事なんかも多くなり、そうなるとやはりバンドメンバー全員イヤモニ必須になってきたんです。

―なるほど、タイミングなどライヴそのものの決め事もどんどん増えますしね。

IMAJO:そうなんですよ。それと、僕の場合アコースティックギターも弾くのでウェッジモニターだとボディと共鳴してどうしてもハウリングを起こしやすくなるのも悩みでした。イヤモニだとそういう問題が一挙に解消されるので、いつの間にか欠かせない存在になっていましたね。色々な環境を試しましたが、ONKYOのイヤモニはフラットな音作りなのでどの現場でも非常に使いやすいです。
Midにフォーカスした2Wayドライバー、包まれるような3Wayドライバー
―IMAJOさんがお使いのモデルはIE-J2ですね。

IMAJO:そうですね。前に一度3Wayドライバーのモデルを作ったんですけど、実際にリハーサルで使用したら音がちょっとリッチ過ぎたんです。例えるなら、映画『THE BACK TO THE FUTURE』で主人公が馬鹿デカいスピーカーに繋いだエレキギターを弾いて吹き飛ばされるような(笑)あれくらいデカいスピーカーが耳元にあるように感じられて。リスニング用には最高だったんですけどね。僕の場合は現場で使うなら2Wayドライバーがベストです。ドライバー同士の位相がピッタリ合っているのもいいですね。

―YOFFYさんはイヤモニを使い始めて歌唱面で変わったことはありますか?

YOFFY:僕みたいにハイトーンを多用するヴォーカリストにとって、歌う時に力むのが一番喉に悪いんです。その点ONKYOのイヤモニを使い始めてからは非常に歌いやすくなりましたね。遮音性が高いのもあって、自分の声を内耳で確認しながら歌えるという点がパフォーマンスを支えてくれています。イヤモニから出している音は、昔はさっき話した耳栓の延長で、「耳を塞いだ上で楽器の音やガイドを少しだけ足す」ような音で自分の歌声は殆ど返してなかったんですけど、最近はもう少し自分のマイクの音も含めてトータルにバランスされた音をイヤモニに出してもらうように変化してきました。

―IMAJOさんとは違って、YOFFYさんは3Wayドライバー編成のJ3をお使いですね。この編成を選んだポイントは?

YOFFY:完全に好みの世界ですけど、定番のモニターヘッドホンであるSONY MDR-CD900STやYAMAHA NS-10MみたいにMidに集まった音は、居場所的に自分のヴォーカルとちょっとぶつかる感じが以前からしていて。だから自宅の環境もGenelecのモニタースピーカーを使っているんですが、フォーカスが集中された音というよりはもう少し広がりがあって包まれるようなイメージの音が好きなんです。ピッチをつかむ手掛かり的な音を探しやすいというか。

IMAJO:ちょっと分かる気はします。ヴォーカリストならではですね。僕の場合は全ての音をフラットに見渡すのと同時に、イヤモニの中の自分のギターの音を中央よりも少し左にPANを振って住み分けています。ヴォーカリストの場合自分の声を左右に振ったら歌いづらそうですからね。帯域で住み分けるという解決の仕方もあるなと。
現在のライヴでは欠かせないイヤモニの存在
―イヤモニを使い始めてから、ステージ上でのお客さんとのコミュニケーションに変化はありましたか?人によってはイヤモニをすると閉塞感や孤独を感じるというケースもあるようですが。

YOFFY:そもそもヴォーカリストがステージ上でモニターしている音って、オーディオ的には全く面白くないもので(笑)リヴァーブも切っていて凄くドライだし、歌わない人からすれば「なんじゃこれ!?」って感じの音を聴きながら歌っています。カラオケバーとかで気持ち良く歌うような音とはかけ離れていますね。最初はそれが寂しくも感じたんですけど。だからMCの時は片耳だけ外したりとか、現場によってはお客さんの声を拾う用にマイクが立ててあって、MCの時だけその音をモニターマンの方が親切に返してくれたりしますね。そうじゃない現場では想像力で補ってます(笑)

IMAJO:そのお客さん用のマイクが、演奏が始まってもミュートされてないと「マジかよ!!」ってなるけど(笑)

YOFFY:たまにあるね!あと、MCでバンドメンバーのマイクの声がイヤモニに返されてないと「えっ!?えっ!?」ってなりますね。これも結構よくある(笑)でもそれを補っても余りあるほどの恩恵を受けていますね。昔から耳栓やイヤモニには異常にこだわりがあるんですけど、実は昔気づかないままワンステージずっと半音低いまま歌ってしまったことがあって。現場では音が回っちゃっていて全然気づかなかったんです。後で記録用の録音を聴いたらもうショックでショックで。

―そんなことが...

YOFFY:こんなものをお客さんに聴かせていたのかと思って、本気で引退を考えましたね。その後色々調べていたら、RUSHのドラマーのニール・パートはステージでは航空機整備の人が使う用のイヤーマフを使っている事を知ったり。スタジアムロックの人ならではの工夫ですよね。だからそれから自分でもモニター環境については色々と工夫をしてきました。当時は自分のそういう疑問に応えてくれる現場の人もいなくて。

―当時の日本にはあまり経験値が無かったのかもしれないですね。

YOFFY:ただ、「イヤモニを片耳だけ着けて歌うのはやめな!」っていうのはよく言われましたね。それが原因で難聴になったヴォーカリストが結構居るらしく。人体は左右のバランスが取れていることが重要で、片耳だけ大きな音を聴き続けるのは危ないということらしいです。

IMAJO:以前アニメロサマーライブに出演した時、満員のさいたまスーパーアリーナのセンターステージに出て行って、演奏中に「今この2万7千人のお客さんの声を聴いてみたいな!」と思って、試しに片耳だけイヤモニを外してみたんです。そうしたらその一瞬で終わりましたね(笑)もう音のタイミングのズレが思っていた以上に大きくて、スネアの音なんか全部8分に聴こえる。残った左耳に全神経を集中して乗り切りました。

YOFFY:イヤモニを使い始めたころ、周りのヴォーカリストに「YOFFYさんイヤモニなんかしていて耳疲れたり悪くなったりしないんですか!?」なんて言われて。なんか爆音で聴いていると思われたんですね。「いやいや、耳に入る音を全体的に下げた上でバランスの取れた音を出してもらっているんですよ」っていうのが、その当時はまだ広まってなかったんですね。

―サイキックラバーのライヴ時の中音(ステージ上の音)はイヤモニを導入してから変化はありましたか?中音が凄く小さくなった現場もあると聞きますが。

IMAJO:うちの場合はウェッジモニターをなくした分下がってはいるんですけど、ライヴハウス規模のステージでは最前のお客さんにはメインのスピーカーよりも中音が届いてる場合が結構多いんですよね。なのでPAさんにはステージサイドのスピーカーは大きめに出してくれって頼んでいます。だから体感上あまり変わらないけど、やっぱり昔より中音は下がりましたね。

YOFFY:僕の足元に置いてるウェッジモニターもダミーですね。音は出してないんですけど、パフォーマンスで足を掛けたりしたいじゃないですか(笑)なんかあれが無いステージはロックを感じない(笑)

IMAJO:まあね。なんかこう、スネを見られるの恥ずかしいよね。

YOFFY:ウェッジモニターの外側だけ置いてあるような時代も来るのかもしれない。

IMAJO:俺持ってるよ。中身を抜いたウェッジモニター。

YOFFY:ええ!?

IMAJO:カンペが置けるようにしてある(笑)今なら譜面台を立てるけど、昔は暗譜してくれっていう現場も結構あったからね。話は逸れましたけど、さっき出たようにイヤモニをしていることの孤独感は多少ありますよね。やっぱり空気を震わせる音を聴くのは気持ちいいけど、それとはまたちょっと別な話かなとは思いますね。

―ギタリストとしては、機材もやはりイヤモニ環境前提に変化していますか?

IMAJO:それはありますね。以前はヘッドアンプがあってスピーカーキャビネットがあってそれにマイクを立ててPAから音を出すというのが基本でしたけど、今はもうスピーカーにマイクは立てずにヘッドアンプの音をライン信号でPAに直接送っています。具体的には、真空管のヘッドアンプをスピーカーシミュレーターが入ったロードボックスに繋いで、そこからステージ上にモニターとして置いてあるキャビネットとPAに送るライン信号に分岐させています。このライン信号は同時に僕のイヤモニにも返してもらっています。だからステージ上ではキャビネットも一応鳴っているけど、僕のイヤモニの中には自分のギターの音としてはスピーカーシミュレーターを通ったラインの音だけが聴こえています。イヤモニ時代ならではの構築ですね。
お二人の実機をご紹介!
―様々な現場でONKYOのイヤモニを使用して頂いていますが、実物を見せていただけますか?

IMAJO:フェイスプレートには左にサイキックラバーのロゴと、右には僕自身のサインを入れて頂いています。左右で色を分けているのは、現場でとっさに左右を迷わないようにです。ほとんどの人が何かしら色を変えてるんじゃないかな?

―ケーブルをデフォルトのestron LinumからパイオニアのMMCXケーブルに交換されていますね。

IMAJO:オリジナルestronのケーブルは凄く音が良くて気に入っているんですけど、現場で使用する時に慌てて扱うと絡んじゃうことがあって。今は以前から愛用してるパイオニアのケーブル(Pioneer JAC-SM12C1)に交換しています。こうして音や用途に応じて自分好みのケーブルに交換してチューンナップできるのもONKYOのイヤモニの気に入っている点ですね。コネクターにT2を選ばなかった理由も既に持ってるケーブルとの組み合わせを色々試してみたかったからです。Pioneerのコネクターシールド(JAC-CS01)も汗をブロックできるので併用しています。

―YOFFYさんはストックのままですか?

YOFFY:そうですね。僕は汗に強いT2コネクタを選びました。IMAJOと同じく内側だけ左右で色を変えています。個人的にあまりイヤモニが目立たない方が好きで、外側のフェイスプレートだけ肌色に近いブロンズカラーにしました。左はサイキックラバーのロゴ、右はよふぃ太郎を入れて貰ってます!ケーブルは僕は逆にこの細さが結構気に入っていて、ケーブルの存在をあまり感じないところがいいですね。髪に隠すとほぼ分からないです。スタイリッシュな衣装を着てもケーブルが邪魔にならないのがいいですね。

付属 のケースが 意外と優れモノ!
IMAJO:他の人はあまり触れてないかもしれないですけど、ONKYOのイヤモニはこの付属で付いてくる丸いケースが良いんですよ。

―え?!そこに言及された方は初めてですね…

IMAJO:イヤモニって結構デカい頑丈なケースに入っていることが多いじゃないですか。そうすると機材車に積んじゃったりして、新幹線や飛行機で移動中に映像や音をチェックしたいときに手元に無いっていう事態が発生しがちなんですよ。その点このケースは小さくて薄くて最高ですね。バッグに常に一つは入れておけるので欲しい時にすぐに使える。結構それで困ってる人をよく目にするんですよ。

YOFFY:IMAJOのは直筆で何か書いてあるけど、これオリジナルで文字とかプリントできるようになったら最高かもね(笑)

IMAJO:いいね!実現したら俺オーダーするもん(笑)楽屋の忘れ物対策にもなるし!


(了)
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※秋葉原にあるONKYO BASEで実機サンプル展示中!

現在、秋葉原にあるONKO BASE(https://onkyobase.com/)にて、サイキックラバー刻印モデルの実機サンプルを展示中!
ご試聴いただくこともできますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!    
  
【News】サイキックラバー約1年ぶりの有観客ライヴが決定!

2021年4月11日(日) HOLIDAY SHINJUKUにてバンド編成による約一年ぶりの有観客LIVEの開催が決定しました!※ストーリーミング配信も予定しています。
【出演】
サイキックラバー (YOFFY/ IMAJO)
BANDメンバー:Dr.そうる透/Key.TACOS NAOMI/Ba.田中亮輔
【日時】
2021年4月11日(日)
【場所】
HOLIDAY SHINJUKU
詳細はオフィシャルサイトにて:https://www.psychic-mania.com/
PSYCHIC LOVER Profile

YOFFY(Vo)とIMAJO(G)によるロック・ユニット。
2003年、アニメ「トランスフォーマー・マイクロン伝説」主題歌シングル「TRAMSFORMER-Dream Again」でメジャーデビュー。
2004年リリースの「特捜戦隊デカレンジャー」は10万枚を突破する大ヒット。
2009年に主題歌を担当した「侍戦隊シンケンジャー」はオリコンウィークリーチャートで6位を記録。
国内最大規模のアニソンフェス「Animelo Summer Live」への出演、海外公演など、ライブ・パフォーマンスでも国内外問わず多くのファンを魅了し続け、これまでに5枚のオリジナルアルバムをリリース。アニメ、ゲーム、声優への楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。
2016年、テレビ東京系アニメ「斉木楠雄のΨ難」では"斉木ックラバー"名義で劇伴を担当。2018年の「斉木楠雄のΨ難」第二期では声優陣とのコラボでOP & ED主題歌も担当している。